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紬希は恥ずかしくてたまらないのに、その間にも今まで経験した事がないくらい、自分の体温が上がってくるのを感じた。
ゆっくり貴堂が離れたとき、紬希はぼうっとそれを見ていたのだ。
「熱い……です」
「うん。頬が赤い。とんでもなく色っぽい顔をしているよ」
そう言って貴堂にさらりと頬を撫でられる。
けれど、そんなことを言う貴堂だってとても艶めいた熱っぽい顔で紬希を見ているのだ。
そんな顔は今まで見たことない。
「どきどきします」
「可愛い。伝わった?」
紬希はこくんと頷いた。こんなお互いが求めあうようなキスになるなんて思わなかった。
その分、紬希が大好きという事だけではなくて、貴堂が大好きだと思ってくれているということまで伝わったのだ。
紬希は貴堂に抱き着いた。
「貴堂さん、大好きです」
「うん。僕も大好きだ」
そんな紬希を貴堂もしっかりと抱きしめる。
「私、ちゃんと貴堂さんのこと信じてましたけど、今日はほんの少しだけ怖かったんです。もう二度と会えなかったらどうしようかと思ったの」
「うん」
絶対に大丈夫だと紬希には言ってやりたいけど、そんな約束はできない。信じるといってくれているのだから、その紬希を信じるしかないのだ。
事故と聞けばそれが飛行機事故でなくても心配はするし、不安にもなる。
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