18.まな板の上の…?

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18.まな板の上の…?

 紬希を抱き上げて寝室まで運んだ貴堂はその身体をそっとベッドに横たえた。  そうして、横に寄り添う。  貴堂の顔を見てくる紬希をそっと撫でたのだ。  紬希は数時間前、もう二度と貴堂の顔を見れないのかもしれないと一瞬だが覚悟をした。 『後悔しないね』と聞かれて、後悔などしないと思っていた。 ──していない、今も。後悔は。  ただ、とんでもなくどきどきして口から心臓が出そうなだけでっ。  紬希を撫でた貴堂は立ち上がってドアを閉めに行った。  そうして、ベッドサイドのライトを薄めにつけて、部屋の灯りを落としてしまう。 「怖い?」  そんな風に優しい顔で覗き込まれて、怖いわけがない。  優しくて、綺麗で端正な顔がとても近い。 「怖くは……ないです」  そうなのだ、とても不思議なのだけれど、怖くはない。  キシリとベッドが音を立てた。  ただ横たわっていることしかできない紬希の横に貴堂が肘をついて寝転ぶ。 「大丈夫? ものすごくまな板の上の人になっているけど」 「っだ、大丈夫ですっ」 ──声がひっくり返りました!  横で貴堂がくつくつ笑っている気配がする。 「可愛い過ぎるよ。そうか……いつもそうやって紬希は一生懸命に必死にやってきたんだな」  胸の上で手を組んでいた紬希の手に、貴堂はそっと触れる。  そうして顔を伏せていた。  肩が小刻みに揺れていて、何となく察した紬希だ。
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