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気づいたら端正な貴堂の顔が紬希に近づいていた。
紬希は思わず目を閉じてしまう。
唇を柔らかく掠める息を感じたと思ったら、熱のある感触が紬希の唇を覆った。
甘く舌でノックされると、紬希は緩く唇を開いて貴堂を受け入れてしまうのだ。口の中をかきまわされても、もう戸惑うことはない。
何度となく触れ合う粘膜にちゅ……と音をたてて、貴堂の唇が離れた時、紬希はつい目を開けてしまった。
どうして?という顔になっていたかもしれない。
熱を孕んでいながら、とても優しい顔で貴堂は紬希を見つめていた。
「紬希、これ以上先に進んだら、もう僕は止められないと思うんだ。それでもいいかな」
穏やかに優しく問う声は紬希の意向を尊重してくれていた。
貴堂とならば、なにがあっても後悔はしない。
「あ……の、誠一郎さん、止めないで?」
「こういう時に名前を呼ぶとか……っ、君は」
紬希の首元に貴堂の顔が埋められる。
さらりとした髪が耳元に当たって少しだけくすぐったい。
「紬希、大事にする。君の綺麗さも、強さも優しさも全部全部好きだ。今日、信じてましたと言ってくれて、本当にとても嬉しかったんだ」
「誠一郎さんはとても素敵な方です。その誠一郎さんを信じることが出来たのは、根気強くいろいろ教えてくださったからです。私も大好きです」
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