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とても心臓がどきどき言っている。
それでも貴堂とこうすることは、紬希にはとても自然なことと感じたのだ。
薄暗くて、やっとお互いの顔が見えるような灯りの中で貴堂の吐息が頬に触れて、耳元に触れる。
紬希のブラウスのボタンが一つずつ外されていった。紬希は思わずぎゅっとシーツを握ってしまった。
そっとブラウスの前を開けられたら肌が外気に触れ紬希はどきんとする。
思わず空いた手で胸元を隠してしまう。
貴堂は微笑んで今度は自分のシャツのボタンを外していった。
そうして肌着すら両手をクロスして頭からすっぽりと脱いでしまう。
ベッドサイドの薄い灯りの中でも、綺麗に筋肉のついた肩や胸板、余分な緩みなど一切ない腹部から腰にかけての引き締まったラインが見える。
──確かに、採寸したことはありますけど……。
この肩や腕や胸に、あの時散々触れたのかと思うと紬希は急に恥ずかしくなってしまった。
それに、こんな彫刻のように完璧な身体の人に、細いとか華奢と言えば聞こえは言いけれど、貧弱とも思える自分の身体を晒すのはさらに恥ずかしくて。
「ん? どうした?」
「いえ……すごく恥ずかしい」
「どうして?」
「こんな……」
胸の上で隠していた腕を紬希はそっと貴堂に取られた。
「綺麗だよ? たくさん恥じらってよ。それがすごく可愛いから。僕もそんな姿にどきどきするしね」
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