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旅行の準備もあり、このところよく二人で一緒に出掛けるようになったのだが、紬希はとにかく人目を引く。綺麗過ぎるのだ。
その割に本人にその自覚がなくて無防備なところがまた魅力になっている。
最近は貴堂と一緒にいて、外出にもだいぶ慣れて来たようではあるが、貴堂としてはその無防備なところにたまに不安を感じるのだ。
人見知りな紬希のこと、付いていくようなことはないだろうが親切っぽく声をかけられたら感じよく対応してしまう子なので、何かあっても困る。
しかし紬希と出会った当初は、透と雪真は紬希を甘やかし過ぎなのではないかと貴堂は感じた事もあった。
なのに最近は『貴堂さん、紬希を甘やかしていませんか?』と透に言われることにはちょっと戸惑う貴堂である。
──そうか?甘やかしている?いや、もっと甘やかしたいんだが……。
今日の紬希はいつもは下ろしている前髪を上げて、ハーフアップに髪をゆるく結んでいる。
マキシ丈のふわりとしたワンピースが雰囲気にとても似合っていた。
「今日は髪をあげているんだな。可愛いな」
「え……誠一郎さんも制服……とってもカッコイイです」
「3割から5割増しになるらしいと聞いたぞ」
「増し?」
「制服姿だよ」
そう言って貴堂はにっこり笑う。
「5割も? というか制服でなくても誠一郎さんは素敵ですから!」
「ホテルに行って私服に着替えても割り引くなよ?」
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