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「引きませんっ」
美男美女のいちゃいちゃなのだが、遠くの方で客室乗務員たちが拝んでいるのは、紬希たちは気付かないことなのだった。
──尊い!!
空港でレンタカーを借りていた貴堂の運転で高速に乗り、空港を離れる。
貴堂が沖縄への乗務があるというので、それに合わせて一緒に行かないかと紬希を誘ってくれたのは1か月程前のことだ。
遠方への旅行は修学旅行以来の紬希は、貴堂の休暇に一緒に一からいろんなものを揃えるのも楽しかった。
国際線乗務が入ってしまえば貴堂とは何日も会えないことがあるし、一緒にいられることはとても貴重なことなのだということは紬希も前回のエンジン火災の時に痛いほど感じたのだ。
だから一緒にいる間は寄り添って過ごすのがとても幸せなことだと思う。
貴堂も忙しい立場であり休みだからといって必ずしも紬希と過ごせるわけではない。飛行機を降りても勉強することが多いのは相変わらずなのである。
だから一緒にいるときは、一緒にいる時間を大切に、というのは二人の間の新たな決め事になった。
「揺れなかったか?」
夏休みも終わり、台風シーズンになる直前の割といい時期だ。
人も比較的少ないし天候も安定しており、行くなら今かと貴堂も考えたのだ。
それに、以前に紬希と潜水艦に乗ろうと約束していたから。
「揺れ……はあんなものでしょうか?私、初めて飛行機に乗るので良く分からなくて」
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