10146人が本棚に入れています
本棚に追加
海中を真っ直ぐに伸びる橋にどこまでも青い空とブルーのグラデーションを見せる海。白い砂浜が目にまぶしく、二人に影を作る緑の木までまるで絵の様だった。
「これで白い砂浜と青い海はコンプリート?」
「はい! とっても綺麗。想像していたよりもっと綺麗でした」
景色に夢中の紬希を貴堂は後ろからそっと抱きしめる。
「紬希の青の表現が最高。いろんなブルーがあるんだな」
「はい。えーっと、コバルトブルー、マリンブルー、セルリアンブルー……」
「紬希にはどんな風に見えているんだろうな」
「きっと一緒ですよ。ただ綺麗」
そう言って紬希は貴堂に微笑みかける。
ただ綺麗。
こんな景色を共有できることが幸せだから。
背中には貴堂の広い胸と温かさを感じる。抱きしめられて包み込まれる安心感は貴堂だけが与えてくれるものだ。
「そうだな。ただ綺麗だ」
自然に二人の顔の距離が近くなって、そっと唇が重なった。
きっと想いも共有されていたはずだ。
最初のコメントを投稿しよう!