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「紬希さん、可愛いお名前ですね。フライトは快適でしたか?」
乗務員の一人が笑顔で紬希にそう尋ねた。
「あ、はい。とても。ありがとうございました」
以前に立花紫に強く当たられたこともあったので、最初は少し警戒していた貴堂と紬希だったのだが、乗務員たちはどうやら違うようだと分かって二人の間の空気が緩んだ。
以前よりは紬希は自分に自信が持てるようにはなってきているようだが、それでも紬希が少しでもつらい思いをするのは嫌な貴堂なのだ。
守れる場面であれば守りたいと思う。
けれど、乗務員たちは紬希にも好意的な雰囲気なので安心した。
「今日はオプションですか?」
と紬希に話しかけている。
「はい。潜水艦に乗ります」
気軽な雰囲気に紬希も笑顔で返していた。その間も貴堂は手を離すことはないけれど。
ずっと手をつないだままの二人を見て、乗務員たちはにこにこしている。
「沖縄の海は綺麗ですからねー。楽しんできて下さいね」
では、失礼します!と彼女たちは去っていった。
推しの邪魔をすることは本意ではないのだ。
ただ尊いものを見せてもらったことに対する感謝の気持ちしかない。
「いい方達です」
「だな」
そんなこととは知らない紬希と貴堂はひたすらに平和なのだった。
潜水艦に乗ると船長はキャプテンであると紹介された。
つい、紬希は貴堂を見てしまう。
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