20.風に抱かれて

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 内装は南国風でありながら、とても高級感がある。テラスにはジャグジーがあって、ジャグジーのある庭を抜けると直接インフィニティプールへの行き来が可能な部屋なのだ。  食事を終えたあと、二人で手を繋いでプールサイドを散策した。 「水着、持ってきているんだよね?」 紬希はふわりと頬を染めて、貴堂を見る。 「はい」  水着と言ってもタンキニというタンクトップとビキニを組み合わせたようなタイプのものである。  紬希はさすがにビキニは恥ずかしくて購入することが出来なかった。 「じゃあ、あとでお部屋についているジャグジーに入ろうね」  一緒にお風呂はまださすがに無理だろうが、水着を着用したジャグジーなら了解してくれるだろうという目算も貴堂にはあったのだ。  こくりと頷いた紬希を見て、その目算が当たっていたことを嬉しく思う。  進んだり、やり直したりしながらもやっとここまで進んできた関係なのだ。慌てる気も焦らせる気も貴堂にはなかった。  ただ、二人の関係を進めていきたいとは思っているのだ。ゆっくりでもいいから。二人のペースで。  昼間は青く遠くまで澄んだ色を見せていた空は、夜には星が宝石箱をこぼしたかのような煌めきを見せている。 「すごく……綺麗」  そう言って空を見上げる紬希こそが綺麗だ。 「うん」  貴堂は手を繋ぎ直して返事をする。  そんなに綺麗なものを二人一緒に見られる幸せ。
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