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待機とは、もしも体調不良などで予定していたフライトができないパイロットが出た場合に、代わりにすぐに搭乗することができるように控えていることだ。
会社に出勤してもいいし、自宅で待機していてもいい。ただしすぐ動けるようにしておく必要があるのだ。
今回のシフトは待機の後は休暇の予定になっている。その後は国際便への搭乗の予定だ。
貴堂の行動は、飛行機に乗ること、知識をアップデートすること。機を降りても勉強することは多いからだ。そして常に体力に気を使い、身体を鍛えておくこと、そのルーティンだ。
そのペースに慣れていて、それ以外のことは今はない。なのに、なぜかあの『みしまつむぎ』のことは気になるのだ。
次に貴堂が花小路と会ったのはフライトを終え、着替えるために更衣室に行ったときだった。
花小路の方はこれからフライトのようで制服に着替えていた。
「花小路くんはこれからか。どこまで?」
貴堂が話しかけると、花小路は足を止める。
「福岡です。その後中部で函館の予定です。貴堂さんは帰りですか?」
「パリで2日ステイの帰りだ」
花小路は少し考えるような顔を見せた。
「この後は休暇ですね?」
「ああ……そうだな」
「先日の三嶋紬希、覚えていますか?」
忘れるわけなどない。
「もちろん」
「シャツを作るにはサイズを測る必要があるんです。休暇中は何かご予定はありますか?」
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