6.交際とはどういうものかしら

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6.交際とはどういうものかしら

 プロフェッショナルだと、そんなふうに認めてもらっているとは紬希は思わなかった。  しかも、紬希が憧れて止まない雪真が尊敬するような人に、だ。 「知識も才能も腕もある人はプロフェッショナルです」 「貴堂さんは?」 「僕もプロフェッショナルでありたい、と思いますよ? そのためにたゆまぬ努力をしている。大きな声では言いませんが」  あなたもそうではないですか?と運転席から密やかな声が聞こえてきて、紬希の目元が熱くなる。  夢中になってやってきたことを認められることが嬉しかったから。  ぱたぱたっと膝の上に雫がこぼれてしまったのを見て、紬希は慌てる。 「紬希さん……」  その声に、運転している貴堂にも気付かれてしまったんだと思って紬希は慌ててバッグの中からハンカチを探す。 「ご、ごめんなさい……あの、本当にこんな風に泣くつもりはなくて……」 「運転しているときに泣かれたらハグできないでしょう」  貴堂から、はいと先ほどのハンカチを差し出された。 「大丈夫です。ハンカチ、持ってます」 「差し出されたハンカチは素直に受け取って下さい。でないと差し出した僕の立場が困る」  紬希は少し湿ってしまったそのハンカチをきゅっと握った。 「では……洗ってお返しします……」 「はい。待ってます」  そんな風に妙に嬉しそうに言われると困ってしまう。
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