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そんな中を飛行機の機体が横切っていくのが見え、貴堂が飛行機について解説してくれたりする。
そうして貴堂は紙袋からサンドウィッチを取り出し、紬希に渡してくれたのだった。
「クロワッサン?」
「そう。クロワッサンのサンドウィッチ。食べたことある?」
紬希は首を横に振った。
「じゃあ、食べてみて」
中身は先ほど貴堂が言っていたエビとアボカドだ。
その大きなクロワッサンのサンドウィッチに紬希はかぷりとかぶりつく。貴堂はそれをにこにこして見ていた。
「美味しい!」
さくさくした食感と中身の味わい深さがとても贅沢で美味しい。
「だろう?」
笑顔になった紬希を見て、貴堂も嬉しそうになっていた。
そうして自分もサンドウィッチを口に入れる。
「うん。美味いね」
貴堂とは一緒に食事をしていても気まずくなることはなく、紬希が見たこともないような景色の話をしてくれる。
特に海が綺麗な沖縄の話は聞いているだけでもワクワクした。ブルーのグラデーションが広がる果てしなく広い海に鯨が見えたという話だ。
「思わず、機内アナウンスをしてしまったくらいでね」
そんな風に話す貴堂がとても楽しそうなのだ。
「みんなが一斉に立ち上がったら飛行機は傾いたりしそうですけれど……」
そう言って紬希は首を傾げる。
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