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「そう。先程も聞いてもらった通りです。約束することで覚悟を僕は示します。僕を信頼出来るのなら、紬希さんはイエスと答えるだけでいい。僕は一度した約束は簡単には破りません」
紬希はとても澄んだ瞳で貴堂を見て、考え込んでいた。
「今日、楽しかったですか?」
貴堂がそう尋ねると紬希は笑顔になった。
「はい!」
「ではこういう時間をまた共有するのはいかがです?」
紬希はふわりと頬を赤くして頷く。
「とても、嬉しいです」
「それをあなたとだけ、共有する、というのは?」
「その……いいんですか?」
「僕の方がお願いしているんです。こんな約束を重ねてゆくのが交際というものです。どうですか?」
紬希にしてみれば今まで、こんな風に分かるように説明してくれるような人はいなかった。
貴堂の説明は分かりやすくて、紬希にも納得ができるものだった。
「私でいいんですか?」
顔を上げた紬希は貴堂にそう尋ねる。貴堂は優しく頷いた。
「あなたがいいんです。そうですね。仮縫いまでに検討していただけませんか? それまでの僕の行動を見て。嫌だと思ったら、やはり止めますと言っていただいて構わない」
確かに、今ここで決断することは紬希には難しい。けれど、2週間ほどの時間があればゆっくり考えることができるだろう。
そんな風に時間をくれることも、紬希にはありがたいことだった。
「分かりました。ちゃんと考えます」
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