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本来、シャツを作成するときは人が採寸してサイズぴったりにすることがもちろん望ましい。
専門店ではフィッターと呼ばれる採寸を専門としている職人もいるくらいなのだ。
けれど、紬希にそれをすることは不可能だ。
そのため『三嶋シャツ』では紬希がシャツを作成するのに必要な情報を全て入力してもらえるようなシートを透が作って、注文の際にはそこに細かく記入をしてもらうようになっている。
採寸が難しい人のために透が友人と開発した採寸のための計測アプリは、その友人が別のことにも使えると権利を守ってくれているので、透はそこからも収入を得ることができているのである。
そうやって今までは兄妹で力を合わせて仕事をしてきた。
ツールではなく紬希が自身で採寸してシャツを作成したのは、今までは兄と雪真だけだった。その雪真だって仮縫いまではしたことがない。
できることなら紬希は自分で作るすべてのシャツの採寸も、仮縫いも全てを自分の手でできたらいいなあとは思うけれど『三嶋シャツ』は紬希一人で作っているのである。
それに加えて、紬希には他人と接することが苦手だ、という性格もある。
どう考えてもそれはできないことだ。
いくつかの試行錯誤を繰り返して、今の形になったのだ。
けれどシャツの最終的な仕上がりは、やはり紬希の感覚と技なのだった。
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