8.ここにいなくてもあなたを思う

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『One hundred……Fifty……』  どんどん設置面が近づいてくる。 『Thirty、Twenty ……Retard, Retard』  機体が地面に対して水平であることを確認して、貴堂はスラストレバーをアイドルにする。 ふわりとした接地。この天気ならば上々の接地だった。  管制はグランドに切り替わり、駐機場にタキシングを開始して到着スポットに向かう。  着陸しても、ブレーキをかけエンジンを止めるまでは機長は気を抜くことは決してない。  貴堂はエンジンをシャットダウンして、機内のベルト着用サインが消えていることを確認した。  コックピットの主要システムをオフにし、チェックリストを行う。そして航空日誌を立花と確認し、貴堂はサインをした。  これで乗務は完了である。 「……ナイスランディングでした」 「はは、ありがとう。お疲れ様」 「あの!」  新人パイロットの立花は貴堂に声をかける。 「すごく、尊敬してます。今日、一緒に搭乗させていただいて本当に光栄でした。自分も研鑽を積んで、貴堂キャプテンのようになりたいです」  立花は顔を真っ赤にしながら一生懸命そんなことを言ってくる。 「僕もまだ勉強中なのだけれど、そんな風に言ってもらえて光栄だよ」  貴堂はにこりと笑って、コックピットを後にしたのだった。素直にそういってもらえることはとても嬉しい。
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