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そして、それが全部顔に出ていると貴堂自身は気付いていなかった。
「えーと、それは女性に贈るのよね?」
改めて確認する真木である。
「ええ」
にこりと真っ直ぐに笑顔を返されて、内心の戸惑いを表面に出さないので真木は精いっぱいだ。
CAとも交際経験のある貴堂のことは真木も聞いたことがあるし、真木自身の旦那様がパイロットであることもあり、貴堂の交際相手から相談を受けたこともある。
彼女曰くに『真木さん! 貴堂キャプテンは唐変木です!』と言っていたけれど。
──とうへんぼく……。
人を指す言葉として、真木は初めて聞いた。けれどそのCAはプリプリ怒っているし、ツッコむところでもないと思ったので、そのまま話を聞いたのだ。
唐変木とは気の利かない人物を表す言葉であるけれど、一緒に仕事をしている真木としては貴堂を気が利かないなんて思ったことは一度もない。
むしろ気が利きすぎるくらい気の利く人だし、周りへの配慮はもちろん、人物的にも全くの問題はない人だ。
コミュニケーション能力も高く控えめで、今日もコックピットから出てきたコーパイの立花がうっとりとしていた。
「貴堂キャプテン、むっちゃカッコいいです……」
と信奉者を増やした風だった。
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