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背も高くて、きりりとした端正な顔立ちと仕事ぶりは同じパイロットですら魅了してしまうような貴堂は、恋愛については正直、仕事ほどうまくいっていないような気がするのだ。
──というか全てのステータスをパイロットという仕事に全振りしてるような人よ、あれは。
相談されて話を聞いていてそう思ったのに、そんな貴堂が女性へのプレゼント?
天地がひっくり返ったのだろうか、と真木は一瞬耳を疑った。
「イングリッシュローズティでおすすめのものがあるけど」
「ローズティ……どういうものなんだろう……」
「まあ、一言で言うとバラの香りのする紅茶?」
「そのままですね」
「とてもいい香りだし、女性には人気あるわよ」
ふむ……と貴堂は考える様子だ。
「良さそうですね。それにしよう。どこにありますか?」
到着時刻は現地時間の夕方だ。今日はホテルに戻って、夕食を食べたらゆっくりするのだろうから、明日買いに行くしかない。
真木はショップの情報を貴堂にメールする。
「今、メールしたわ。大きなデパートの中のショップだから、迷うことはないと思う」
「ありがとうございます」
心から嬉しそうな貴堂の笑顔に、そんな顔誰にでも見せちゃダメだから!となった真木だ。そんな貴堂を見たのがむしろ自分で良かったとすら思った。
クルーがこんな貴堂の笑顔を見たら、話の内容なんかどうでも良くなって胸を掴まれることは間違いない。
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