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いいお土産を教えてもらってご機嫌な貴堂は、遠慮する真木をホテルまで送り届け、自分もホテルにチェックインした。
クルーとパイロットのホテルは一緒のこともあるし、違うこともあるのだが、今回は違うホテルだ。
夕方に到着して当日の夜を過ごし、明日は一日オフになるけれど、その翌日は搭乗なのだ。
それほどゆっくりしている時間はない。
ステイの時の体調管理に関しては、日本にいる時よりもさらに気を遣う。自分の代わりはいないからだ。
日本からロンドンのフライト時間は約12時間で、その間に交代があるとはいえ、多少の疲労は感じるので貴堂は到着した日の当日はホテルで身体を休めることが多い。
国際線勤務の場合、日本時間を守る派と現地時間に合わせる派、またマイペースで過ごす派と別れるが、貴堂は現地時間に合わせることにしていた。
夕食を取りに出かけ、そのあとはゆっくりしようと貴堂は着替えてマーケットに向かった。
携帯を見た紬希はふふっと小さな声をあげて笑う。
ロンドンに滞在している貴堂が写メを送ってくれたのだ。石畳の道のオープンカフェの様子や川沿いのきれいな道を映してくれていた。
いかにも海外らしいその光景とそれを紬希に送ってくれる気持ちが嬉しかった。
『今、僕がいる町はロンドンですが、ここを西に1時間ほど行った町がオックスフォードですよ』
「そうなのね……」
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