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なんせ宇田さんは“怠慢”という言葉が死ぬほど嫌いらしい。
一生懸命仕事に取り組んでいて、それでも壁に当たって困っている後輩にはそっとアドバイスをしてくれる。
しかし怠けているヤツには、容赦なく相当な説教をお見舞いする。本当に真面目な性格というか、仕事熱心な先輩だ。
新入社員じゃあるまいし、それは佐藤もよくわかってるだろうに。
「俺はもう準備万端だよ。今月は売り上げ目標も達成だし、明日の会議は余裕だ」
いつも佐藤は営業の達成率がギリギリで報告書を作るのも遅いのに、今月に限っては神様も味方したのかもしれない。
「竣、あと三十分しかないぞ? ちゃんと定時までに終わるんだろうな?」
毎月俺のほうが会議の準備は早いのに、佐藤にそんな言葉を言われるとは屈辱だ。
たまたま今月は調子が良かったからって威張るなよ、と心の中で毒を吐いた。
「心配するな」
俺はムッとしながらも、再びパソコンのモニターを見つめて資料作りを再開した。
今日は宇田さんが外出したまま会社に戻ってきていない。
帰社時間は遅くなると言っていたし、俺たちが定時ですんなり帰るには絶好のチャンスだ。
「それにしても、お前から飲み会の話を持ってくるとは珍しいな」
たしかにいつもは誰よりも飲み会好きな佐藤が誘ってきて、俺がそれにつきあう形が多い。
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