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「でも、肉食ではないのかも。だって私たち、なにもなかったもの」
「……は?」
「私が酔ってたから部屋で休ませてくれたの。お水を飲んで、しばらくしたら私の家まで送ってくれて……それで終わり」
結局あのあとは、和久井さんがタクシーで家まで送ってくれた。
本当にただそれだけだった。
「え? 部屋に行ったのに?! 飲み会帰りでお酒だって入ってるし、そういう雰囲気になるものだと……。お持ち帰りされたって言うから、てっきり泊まったのかと思ったわ」
「泊まっていってもいいけど? とは言われたけど」
「なにそれ、和久井さんに誘われてるじゃん。舞花、なんで泊まらなかったのよー!!」
美里が興奮して、ガクガクと音が出そうなほど私の肩を両手で前後に揺さぶる。
「だって冗談に決まってるし、お酒の勢いで一夜限りとか、そういうのは嫌だったの」
美里は私の肩から両手を力なく下ろし、納得したのか苦笑いの笑みを浮かべた。
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