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「舞花の言い分もわかる。でも、和久井さんはよくわからない人だね。部屋に連れていくってことは、舞花を気に入ってると思うんだけど。なのに実際にアクションを起こしてこないっていうのが……ねぇ?」
男ならその場の雰囲気で押し倒したくなるはずだと、美里が不思議そうな顔をした。
和久井さんにとって、私はそういう対象ではないのだろうか。女としての魅力に欠けているのかな?
だって、キスすらしなかった。
それどころか、手を握ったり抱きしめたり、そういうのすらなかったのだ。
本当に和久井さんは難攻不落だ。他の女性たちからそう称されている理由がよくわかった。
「でもね、連絡先も交換したし、日曜日にラーメンを食べに行く約束をしたの。これって進歩だよね?」
一歩ずつ、少しずつ……
和久井さんに近づくにはそれしかないのかもしれない。
焦っても仕方がない。
ラーメンを食べるだけのデートだとしても、私と和久井さんの距離を確実に縮めていければいい。
ふたりきりで会えるだけでも、私はうれしいから。
和久井さんと約束をした日曜日は三日後だ。
私はその日が来るのがすごく楽しみで、単純だけど仕事中も元気でいられる。
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