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『 』が一人ぼっち。
あれから途方もない時間が過ぎた。
きっともう君は帰ってこない。
長い時間を一人で過ごし、いつしか僕はこの生活に安定を見出していた。
ただ何もせず、ひっそりと息をひそめる。
それだけで、僕の生活はひどく平穏に過ぎていくんだ。
きっと君は帰ってこない。
君はもう、向こうの世界の住人になってしまったのだろう。
僕は君だから、なんとなくわかる。
それならもう仕方がないではないか。
僕は君との思い出を抱いたまま、せめて君が眠ったときに見る夢にさえ現れないように、そっと息を潜めているしかない。
それが君にとっても幸せだから。
僕は君といれば何にでもなれる気がした。
昔、星を捕まえようとがむしゃらだったあの頃の僕らは、とても輝いていた。
だけど、君の人生にとって、僕は存在自体が無責任なんだ。
だから、もうお別れなんだろう。
あのとき大きく振った君の手が、急に頭に浮かんだ。
さようなら。さようなら。さようなら。
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