その3 誰か来たようだ」

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「そっ、それがおかしいと言っているのよ! ウーヴァ様と結婚するペスカが、この家の跡を継ぐはずでしょうっっ!」  激昂する彼女に、私は目を丸くする。  どうしたらそういう理論になるのか。  ……もしかして、ウーヴァにペスカをけしかけたのは、メローネ様の策略だったのだろうか。 「……メローネ様。いえ、メローネ伯母さま。伯父様が亡くなられた後、確かに父はあなた方を不憫に思ってこの邸に招き、ペスカに至っては養子縁組をしました。ですが、このベラルディ家の現在の当主は私です」  お父様の兄であった伯父さまが不慮の事故で亡くなった際、幼い娘を抱える伯母様を手助けするために、お父様は二人を我が家の別邸に住まわせる事にした。  お父様が温和な性格だった事と、お母様が既に他界していた事で、メローネ伯母様は徐々にこの屋敷の女主人のように振る舞うようになっていた。  でも実際にはお父様と伯母様が再婚した訳ではない。  そしてそのお父様も、半年前に病に倒れてしまったのだ。この邸に取り残されたのは、私と伯母様たち。
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