893人が本棚に入れています
本棚に追加
「ケルビーニ伯爵家の家督は長男が継ぐからです。ですから彼はうちに婿に来ることになっていたのでしょう。……ウーヴァ様は全て了承していると思いますけれど」
ペスカはどうなのだろう、と考えて、ようやくこの場にペスカの姿がないことに気がついた。
いつもは2人でセットなのに、今日はメローネ伯母さま単体だ。
「あ、貴女は私たちに、平民となって出て行けと言うのね! なんてひどい娘なの!」
メローネ伯母様は、ますますヒートアップしている。
「――勝手に婚約したのはペスカですが」
「っ、なんなのよ、あんたはいつもいつも取り澄まして、私たちを馬鹿にして……っ!!」
メローネ伯母様の碧の瞳が吊り上がる。
こうやって理不尽な怒りを向けられるのはよくあることだ。どうやら私は知らぬ間に耐性がついたらしい。
二人がかりで来られると厄介だが、相手が一人だと割と平気だ。
どうやってやり過ごそうかと思案していると、再び食堂の扉が開いた。
最初のコメントを投稿しよう!