その3 誰か来たようだ」

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「ケルビーニ伯爵家の家督は長男が継ぐからです。ですから彼はうちに婿に来ることになっていたのでしょう。……ウーヴァ様は全て了承していると思いますけれど」  ペスカはどうなのだろう、と考えて、ようやくこの場にペスカの姿がないことに気がついた。  いつもは2人でセットなのに、今日はメローネ伯母さま単体だ。 「あ、貴女は私たちに、平民となって出て行けと言うのね! なんてひどい娘なの!」  メローネ伯母様は、ますますヒートアップしている。 「――勝手に婚約したのはペスカですが」 「っ、なんなのよ、あんたはいつもいつも取り澄まして、私たちを馬鹿にして……っ!!」  メローネ伯母様の碧の瞳が吊り上がる。  こうやって理不尽な怒りを向けられるのはよくあることだ。どうやら私は知らぬ間に耐性がついたらしい。  二人がかりで来られると厄介だが、相手が一人だと割と平気だ。  どうやってやり過ごそうかと思案していると、再び食堂の扉が開いた。
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