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魔力なしと言われる事を……そのことが露見することをずっと恐れていたのだ。望まれても戻りたくなどないはず。
「いいえ、ウーヴァ。貴方にも手伝ってもらいたいの。以前言っていたわね、事業を手がけていると。あなたのその手腕を見込んでお願いしたいのは、商会の設立と、その会長になることよ」
「商会……僕が?」
「ええ。それに、モモコ」
「はっ、はいいっ!」
ぱちぱちと目を瞬かせるウーヴァの隣にいたモモコは、私の指名に飛び上がるように立ち上がる。
その様子を見て微笑ましく思いながら、私は言葉を続けた。
「貴女には、私の助手として、この家に留まって欲しいと思っているわ。もう一度、ちゃんと私の義妹になって欲しいの。それで、また楽しい魔道具をたくさん作りましょう」
「……お義姉さま……ううっ、もちろんです!」
彼女がもたらす知識は、とても楽しく、それでいて斬新だ。
それに何より、彼女自身――モモコという存在は、私にとって初めて家族の温もりを感じさせてくれた。
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