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そんな事を考えながら、ちらりと隣に視線を移す。
私を見守るリーベスは、優しい笑みをたたえていて、爺やは少し涙ぐんでいる。
「リーベス。貴方も忙しくなるわよ。私を支えるために、たくさん勉強してもらうわ。――従者としてではなく、私の旦那さまとして。爺や、お願いね」
「はい。メーラ様。必ずやり遂げます」
「ほっほっほ、メーラ様。この爺にお任せください。叩き込みますぞ」
リーベスは獣人で、出生は不明。そのことは、貴族の婚姻にきっと影を落とすことになるだろう。リーベスも気にしていたことだ。
――だから、お金がいる。ベラルディ伯爵家の地位を確固たるものにして、それからでも遅くはない。
モモコのことだって、ウーヴァのことだって、守れるくらいの力が欲しい。
リーベスと見つめ合っていると、こほり、と咳払いが聞こえた。少しだけ顔を背けたウーヴァが、わざとらしく口の前に拳を置いている。
「君の考えは分かった。僕としても、是非協力したい。ちょうど手がけた事業は軌道に乗っているところだし。だが、僕も条件がある」
「まあ、何かしら」
そう問うと、ウーヴァの紫色の瞳が、燃えるような意志を持って私を見た。これまでになく、凛々しい表情だ。
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