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さっと立ち上がった彼は、胸の前に恭しく右手を添えると、姿勢を正した。
「ベラルディ伯爵に申し入れます。この事業が成功した暁には……貴女の義妹、ペスカ――いや、モモコ=ベラルディ嬢に婚姻を申し込むことをお許しいただけますか」
「まあ」
「えっ!」
びっくりとした顔で固まるモモコを尻目に、ウーヴァは私の返事を待っている。
彼にこんな情熱的な部分があったなんて……と驚きはしたものの、その真剣な眼差しに、私はついつい笑みをこぼしてしまう。
「そうね。成功したら、考えましょう。でも、それはモモコの同意を貴方がしっかり得てからの話だわ。モモコが望むなら、許します」
「ありがとう、メーラ。新しい事業も、婚約者どのをその気にさせるのも、どちらも全力で頑張るよ」
「えっ、あっ、ちょっとお義姉さまにウーヴァさぁん。わたしを置いてかないでくださいよぉぉぉ」
「聞いてのとおりだ、モモコ。僕はこれから全力で君に求婚する」
「いやまって推しの押しが強い……! キャパオーバーですからぁぁぁ!!!」
顔を真っ赤にするモモコと、吹っ切れたように爽やかな笑顔を見せるウーヴァ。彼女たちの行く末も、幸せな結末でありますようにと、私は心から願った。
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