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顔を上げたリーベスの赤い瞳は、とろりととろけている。酒に酔っているような、熱に浮かされているようなどこかふわふわとした表情を浮かべている。
私の背中に回った彼の手が、しゅるりとリボンを解く。強い力で抱きしめられたままで、私は身動きが取れない。
「リーベス、どうしたの。ほら、しっかりして」
「これまで我慢した。もうメーラは俺のものだ。俺の……」
「きゃあ!」
どう考えても正気じゃないリーベスの腕をペシペシと叩いていると、急に抱き上げられる。抵抗なんて出来るはずもなく横抱きにされた私は、どさりとベッドの上に下ろされた。
「メーラ、愛している。メーラ……」
ギラギラと燃えるように赤いリーベスの瞳の後ろには窓の景色が見える。
間もなく夕暮れ。そして、今夜は――
よそ見をしていたところ、唇に触れたのはリーベスのそれだった。意識を目の前の彼に戻した私は、そっと腕を伸ばして、彼を抱きしめる。
「うん。これからはずっと一緒ね。リーベスが旦那さまで、伯母様と爺やがいて。モモコとウーヴァは、私たちの義理の弟妹になるの」
「……ああ」
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