*思い出した日 桃子視点

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*思い出した日 桃子視点

 目を覚ますと、見慣れない天井が目に入って来た。  精巧な模様の入った壁紙だ。こんな部屋、見たことない。 (あれ……うちってこんなにメルヘンチックだったっけ……スマホスマホ)  覚醒しきれない頭でぼおっとしながら、わたしは枕の下に手を伸ばす。  いつも寝る時はスマホは枕の下に置いていたからだ。 (あれ……ない……?)  どれだけゴソゴソと探っても、スマホは出てこない。  スマホを探す手がかりになればと、昨日の事を思い出しそうとした時、頭にずきりと鋭い痛みが走った。  思わず手で頭を押さえる。  少し落ち着いた時に恐る恐る目を開けると、さらりとした髪の感触が指の間を流れていった。 (えっ……何この髪色。わたし、黒髪だったよね)
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