その1 婚約解消は突然に

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 取り決めをした祖父たちは既に天に召されているため、互いの家の当主の了解が得られればそれで問題はないはずだ。 (あ、この感じ……かなりやばいかも)  ついに頭がぐわんぐわんと揺れてきた。    昨日、新しい魔道具を思いついて、開発作業が楽しくてやめられなかったのが原因だ。 「その点は大丈夫だ! もうここにその書類がある。この部分に君のサインをもらえたら、婚約解消は成立だ」  私がそう告げると、ウーヴァは顔を輝かせながら誓約書を取り出した。  家同士で結ばれた婚約。  ケルビーニ伯爵家の当主が認めたのならば良いのだろう。  まさかこんな形で解消になるとは思わなかったけれど。 「そう。じゃあさっさと済ませましょう」  釈然としない部分はあるが、とにかく眠いのだ。早く済ませてベッドに行きたい。  私はウーヴァからそれを受け取ると、目を通したあと、空いている所に名前を書いた。  紛うことなく婚約解消の書類だ。ケルビーニ伯爵家の公印も伯爵のサインもあり、ご丁寧に既にウーヴァの署名は済んでいた。  
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