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明らかに怒っている様子のその執事に、私は寝転んでいた身体を起こし、ベッドの端に座り直した。
「なんなのですか、アレは。人の婚約者を奪うなど……どうしてお嬢さまはいつも、ペスカ様の傍若無人な振る舞いをお許しになるのです……!」
声を震わせて、怒りの形相を浮かべる彼は、自分のことではないのにとても苦しそうだ。
いつも、というのは、ペスカが私のドレスや宝石を欲しがる度に、私が折れるしかなかった事を言っているのだろう。
貴族でありながら、私と同じく魔道具士であったお父様が築き上げた資産がそれなりにあり、我がベラルディ伯爵家は比較的裕福だ。
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