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「以前ペスカに、貴方を自分つきの執事にして欲しいって言われたけど、それはちゃんと断ったもの。それにドレスや宝石だって、本当に興味がないだけなの」
「ね?」と微笑みかけると、リーベスはなぜか頬を赤らめる。
「……それは、存じ上げませんでした」
「リーベスだけは絶対に譲れないわ! だって、貴方以上に私の面倒を見てくれる人なんていないもの。ウーヴァの事も友人として大切には思ってはいたけど、結婚は現実味がなかったの。これで良かったとも思ってしまっているし」
「っ、メーラ様……」
リーベスはどこか切なげに私の名を呼ぶ。
研究に没頭するとすぐに寝食を忘れてしまう私にとって、甲斐甲斐しく世話をやいてくれるリーベスは神のような存在だ。
ペスカの悪癖には困ったものだが、今回の件で憂いが全て解決するのならば、それでいいのではないか。
願わくば、彼女がウーヴァを選んだのが、私への当て付けではなく、きちんとした気持ちを伴ったものであって欲しい。
「……そういうことだから、これからもよろしくね、リーベス」
「はい……お嬢さま。いえ、ご主人様」
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