3人が本棚に入れています
本棚に追加
/75ページ
「俺たちって、結構刹那的な生き方じゃないか?無限に書いては消され、その場だけで喜んで……たまに、この生き方でいいか考えるよなぁ」
「あるある」
……居酒屋『一家言』に集まったホワイトボード(以後『白板』)と、駅勤務の伝言板。そして黒板は、ひときわ大きな顔で愚痴をこぼす。
恒例の飲み会のネタはハバネロ並みに世知辛い世の中の話だ。
「『13たす2は18』なんて間違えて答える子どもに、先生は噂に聞くチョーク投げをするでもなく、俺の上に優しい言葉を投げかけてくれる。本当にいいクラスだったんだ」
黒板は7杯目のビールを煽る。小学校勤務歴24年、情熱に燃え、多くの児童を育てたプロ黒板として市から表彰を受けたこともあった。その彼が突然欠勤し「学校を辞めたい」と愚痴ったのは、これが初めてだった。
最初のコメントを投稿しよう!