そう言えば……

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そう言えば……

 ポカーンとした表情でウナギパイーを見送る俺たち。そんな中、我に返ったアイシューが俺に問いかける。 「ねえ、カイセイさんいいの? あの変態を王女様の元に向かわせて」  心配顔のアイシュー。ただ、アイシューが『変態』などという、ちょっとお下品な言葉を連呼するのはかなり珍しい。相当怒ってるんだろうな。 「大丈夫だろ? 護衛の人がいっぱいいるだろうから。むしろウナギパイーのヤツが、ボコボコにされないか心配だよ。まあ一応、この後衛兵さんの詰所に行って、人相書きを作ってもらうよう頼んでおくよ」  きっと王女様の方は大丈夫だろう。しかし—— 「婚約解消か…… なあ、ホニー。その、なんて言うか、あんまり気を落とすなよ」 「婚約解消ね…… ねえ、ホニー。ほら、男の人なんて星の数ほどいるっていうじゃない」 「婚約解消だゾ…… きっと今、ホニーの心は悲しみでいっぱいで…… はっ、しまったゾ! オ、オレっち、なんにも言ってないゾ!」 「おいミミー! お前、ホニーの心の傷口をエグるようなことを——」 「チ…… チ…… チィィィヨッッットォォォーーーーー!!! なんでアタシがフラれたみたいな展開になってるのヨ!!! アタシは初めっから、アイツのこと、婚約者だなんて言ってないでショォォォーーーーー!!!」  ウナギパイーが残していった最後の精神攻撃がホニーに炸裂した瞬間であった。  やっぱりホニーも興奮させられたようだ。恐るべし、ヨルノオ=カシ・ウナギパイー。
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