3人が本棚に入れています
本棚に追加
パーティメンバーたち①
「ミミー! 右から魔獣が来るぞ!」
「オウっ! オレっちに任せろだゾ!」
風魔法を身に纏った獣人族の少女ミミーが、ザザッと地面を蹴り飛ばし、右方向から襲って来た魔獣に向けて得意の短剣で斬りかかる。
「アイシュー! 前面の魔法壁が薄くなってるぞ! もう一度詠唱だ!」
「はい!」
水魔法を得意とする水の聖女と呼ばれていたアイシューが、魔獣の群れから俺たちを守っている魔法の防壁目掛けて、もう一度上級水魔法を放った。
「ホニー、上だ! 上空の鳥型魔獣を上級火魔法で焼きつくせ!」
「おおー! 鳥どもめ、アタシの華麗な魔法を見るがいいワ!」
「そういうのはいいから、早く詠唱を始めろよ!」
「チョット! アンタうるさいのよ! 今やろうと思ってたんだから!」
火魔法の使い手、炎の令嬢ことホホニナ=ミダ・ヒトスジー、通称ホニーが大空に向け得意の火魔法を放った。
そして——
——ドッカアアアーーーーーン!
俺は前方に群がる魔獣の頭上に展開させた魔法陣から、超級火、水、風の3魔法を、魔獣どもにお見舞いした。
これで街の近くに出没した魔獣の群れは、だいたい退治出来たと思う。
「みんなお疲れサン。大方仕事は終わったんで、俺たちは街に帰るとするか」
娘さん3人に向かってそう言ったのは、この俺、元日本人岸快晴、36歳。ごくありふれた名前の転生者だ。日本で交通事故に遭いあっけなく死んだ俺は、慈悲深い女神様のお計らいで、この剣と魔法でしのぎを削り合うファンタジーな世界へ転生させてもらったのだ。
女神様からいただいた様々な能力のおかげもあり、俺はかなりの凄腕魔導士になったと自負している。この世界では上級魔法を使える魔導士が数えるほどしかいないって言うのに、俺はその上を行く超級魔法を使えるのだから。
最初のコメントを投稿しよう!