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ウナギパイー、ダッシュ!
さて、俺たちがそんなバカなやり取りを続けていたところ——
街道から大きな馬車がこちらに向かってやって来た。どうやら本当の待ち人である王女様が到着したようだ。
馬車から降りようとする王女様。
「あっ、待ってください! 馬車から降りないで!」
俺はとっさに叫んだ。
驚いた様子で馬車の窓から俺を見つめる王女様。王女様は若い、とても若いのだ。王女様の年齢は…… 実は10歳なのだ。しかも超絶美少女なのだ。
王女様のご尊顔を拝し奉ってしまったウナギパイー。
うわっ、コイツ、王女様をガン見してやがる。これは…… ヤバイ!
俺は馬車の窓から魔石を強引に押し込み、御者のおじさんに向かって叫んだ。
「早く出発してして下さい! ここは危険です。さあ早く出発を!」
俺の尋常ならざる様子を見た御者のおじさんは、慌ててムチを馬に入れ、颯爽と馬車を走らせこの場から去って行った。
俺はそっとウナギパイーの様子をうかがう。すると——
「……我は今日、真実の愛に目覚めてしまったようだ。許して欲しい、我が愛した少女ホニーよ。嗚呼、我の心は、今、懺悔の気持ちで張り裂けそうだ! でも、これは仕方のないことなのだ! だって我は真実の愛なしでは生きられない崇高な生き物なのだから! じゃあ、そう言うことで。ああ、それから婚約の件は解消ってことでお願いします」
そう言うと、ウナギパイーはダッシュで馬車を追いかけて行った。
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