第21話 不慣れなことを

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第21話 不慣れなことを

 ガゼボの中で王子に組み敷かれている。  こうしていると外にいる感じはだいぶうすれる。薄れるのだが、それはなんとなくなだけで、上を見上げれば空だ。 「あぁ」  俺は思わず声が出た。  王子にキスされたからではない、頭上に星空が広がっていたからだ。乙女だったら思わずうっとりしてしまうシチュエーションだろう。  だが、俺は男だ。こんな事で心ときめいたりはしない。 「んぁ、っん」  空をながめていたら、がら空きになった喉元に王子のキスが降ってきた。場所が場所なだけに思わず呼吸が乱れる。 「余所見をするな」  王子が俺の顔を覗き込むが、俺は王子の顔の向こうに広がる夜空を見つめる。  俺の世界がどんどん狭くなっていないか? 「シオン、俺を見ろ」  王子に頭を抱え込まれ、ゆっくりと唇を順に落とされていく。そんなに大切そうにされると、絆されるじゃないか。 「十分みてますよ?」  顔が固定されたから、王子しか視界にない。 「おまえは扱いが難しいな」  唇が重なると、そのまま王子の舌が口の中に入ってきた。男との行為になれていないから、俺の舌は思わず逃げてしまう。そもそも、この体は童貞くんなのだ。いきなりハードなのは勘弁して頂きたい。  そんなことを考えていても、王子はやりたい放題で、少しざらついた舌の表面が俺の舌を舐めとるように動いていく。多分吸われている感じがするので、俺が下にいるのにそんなにだ液が口の中にたまらない。  角度を変えてさらに深く入り込もうとする王子の舌が、舌の付け根とか奥歯の辺りをゆっくりと刺激していくので、嫌でも唾液が分泌されていき、口の中に水音が満ちていく。  前世でもこんなディープなのはしたことが無いため、この溢れる唾液をどうしたらいいのか考えているうちに口の端から顎へとたれていた。  王子の手が腰を撫でたので、思わず仰け反ると反動で飲み込んでしまった。自分の喉の音がやけに響いて、頭の中で反響する。 「んっ、んぅん…っは、あ」  唾液におぽれそうで慌てて口を開くけれど、そのせいで王子が深くなり、呼吸をするのに邪魔をする。 「も、やぁ、だ」  王子を引き離そうともがくが、深いキスと撫でられまくった腰への刺激のせいで力なんて入らなかった。  俺の反応が面白かったのか、王子の喉が低く鳴った。  呼吸が整わないまま王子を見上げると、逆光で分かりにくいが笑っているように見えた。が、俺の胸を撫でる手に合わせて王子が軽く噛んできた。  そこまでの一連の動作があまりに早くて、俺はついていけないままその衝撃に身体をひくつかせた。 「痛かったか?」  そんな質問をされても、答えられなでいると、今度は温かい感触が噛まれたあたりを這うように動いた。 「ひっ」  異なる刺激が立て続けにやってきて、俺は思わず引きつった声が出た。  この体で、こんな所を刺激されたのは初めてだ。自分で刺激するようなことなどなかった。  指先で弾くように触られると、硬い爪と指先が連続して当たって痛いのか擽ったいのか分からなくなり、それから逃げようと腰が上に動く。だが、王子の手が腰を掴んで、それを阻止するものだから俺の腰は王子の体に擦り付けるような動きになってしまった。 「ん、んっ、やぁだ、それ…や」  逃げられないことで俺は軽くパニックを起こし、駄々っ子のような嬌声をあげることになった。鼻から抜けるような声が自分から出てるとは想像出来なくて、恥ずかしさが勝って思わず顔が赤くなるのを感じた。  ざらついた舌の感触は、そのまま胸の辺りをゆっくりと動いて、時折強く吸われているのが分かった。 「っう、ん」  強く座れる度に口から声が漏れる。後頭部に痺れるような痛みが走って、この度に腰が動くのが恥ずかしい。  多分、胸が感じやすいのかもしれない。この間の王子との戯れも裸で抱きしめられて、王子の肌が擦れるだけでどうしようもなく気持ちよかった。  頭の下にあるクッションの一つを強く握ると、片方の足に力が入って膝が立ってしまった。王子の舌が俺の臍を刺激してきたのでそのまま力が入って腰が浮く。  自分でしてしまったその行動のせいで、王子に容易く下履きを取られてしまった。腰が浮いていればこんなに楽なことは無い。俺は自分で協力してしまったようなものだ。  外気に触れて一瞬体が跳ねたものの、すぐに王子の体温が伝わってきて俺は腰を落とす。が、またすぐに違う刺激が襲ってきて、俺は逃げようと足に力をいれるはめになった。 「ああ、嫌だ、そん、なの、だめ、だ」  王子が俺のものをあっさりと口にして、目線を俺に合わせてきた。自分のものがその寸前にどんな状態だっかは知らないが、温かい胎内に入れられてしまい一気に脈打つのを感じてしまった。  卑猥な水音をたてて、王子が俺を刺激する。  俺は目に見えている光景を受け入れられず、上半身を肘で支える形で固まった。 「っ、ん…はぁ、はぁ、あ、そ、こは」  太腿の内側が震えてくる。  そんな刺激を知らなかっただけに、まだ18の俺の身体は素直すぎて、温かくて気持ちのいいことをうけいれてしまった。 「あ、んぁ、ん。も、ガマン、でき、なぁい」  さすがに、王子の胎内に出せないと思って、王子の頭を外そうとしたのに、王子は俺の腰をしっかりと掴んで慌てる俺の顔をしっかりと見ていた。  せり上がる得体の知れない恐怖に、俺は一瞬つま先に力を入れたが、そんな些細な抵抗は若くて刺激を喜ぶ身体にはいみがなかった。  腰が震えて、その震えが太腿から膝へと移動する。 「あ、ああ」  怖くて俺はそのままふるえてしまった。  気持ちの良さと、喪失感と恐怖がごちゃ混ぜになって俺は王子から目が離せなくなっていた。  王子が、口の中のモノを見せつけるように口を開けた。俺は瞬きも出来ずそれを黙って見つめる。  王子は口を閉じて、俺に見せつけるように喉を上下させた。その嚥下の音が生々しく俺の耳に届く。  逃げ出したいのに、王子に腰を掴まれたままの俺は顔をひきつらせて声も出せない。  肘をついて上半身を起こしている俺に、王子がのってきた。俺は呆気なく潰されて、王子の唇が俺の耳朶を軽く摘むように動くと、ねっとりと耳の中に王子の舌が入ってきた。そんなことをしながら、王子の手が俺の頭上で動いて、何かを取り出した。  淡い色をした液体の入った小瓶だった。そう言えば、媚薬ならいつでも、とか、言っていなかったか?と思った時、何故か、王子がその液体を俺の胸に垂らしてきた。  液体独特の冷たさに、一瞬身動ぎすると王子の目が笑っていた。どうやら俺の胸で人肌に温めているらしい。合理的と言えばいいのだろうか?俺の感じやすい胸を刺激しつつ、媚薬を温めている。  そこ温めた媚薬をこの後どうするのか、なんとなくは理解しているが、怖くて確認は出来ない。 「そ、それ、なに?」  分かってはいるが、聞かずにはいられない。それは何でどうするものなのか? 「ん?約束しておいただろう?」  約束なんていつした?俺は若干顔をひきつらせる。 「あの店のほどではないが、なかなかいい品物だぞ」  王子の手の動きに合わせて、ふわりと香りが登ってくる。柔らかい甘い香りが鼻をくすぐる。  熱を加えると匂いが出るタイプなのだろうか?だから胸の上でわざと温めるのか?前世で風邪をひいた時に胸に塗る薬を思い出した。アレも胸に塗って、吸い込む事で相乗効果を狙うものだった。  この媚薬もそう言う効果を狙っているのだろうか?  俺が王子の動きを眺めていると、王子は手にたっぷりと媚薬を纏わせ、俺の片膝を持ち上げるようにして、手を後ろに滑り込ませてきた。 「!」  声が出ないまま腰が跳ねた。  酷いことに、王子はいきなり指を二本入れてきたのだ。 「ひっ、ああぅ、っうん」  逃れようと俺が腰を浮かせると、すかさず王子はクッションを入れてきた。 「痛くはないだろう?」  上から覗き込むように聞いては来るが、とくに心配をしている感じはしない。  二本の指は中指と薬指だろうか?前世の俺はその指をよく使っていたのだが? 「本当に初めてか?」  いきなり二本を勝手に入れておきながら、王子が面白そうに言ってきた。 「はっ、はっじめ、て、に、決まっ」  内壁をなぞるように動かされて、思わず力が入ってしまった。足指に力が入ったので、自然と膝が閉じていく。 「ふぁぁ、あ」  引き抜かれる感触に腰が震える。背筋がゾクゾクして、思わず喉がなった。 「いい反応だな」  王子に言われて、身体が思わず反応していた。 「あっ」  目が合って、外せなくなっていた。  腰が跳ねるように動いて、逃げられないように膝を取られている事に気がついた。指がまた入ってきていて、俺はそれを受け入れていた。 「あ、っあ」  目線を合わせたまま攻められるのはなかなかキツい。下腹の辺りがどんどん熱くなってくるのに、それに、気づいたところでどうすることも出来ず、身体が震えてきた。 「もう一回、イけそうか?」  目線を外さないで王子に言われて、俺は意味もわからず頷いていた。  もう一回って、どうゆう? 「あっ、あ、あぁ…」  下腹の辺りが熱くて疼く、なにがどうなっているのか全く分からないけれど、なにかが俺にジリジリと迫ってくる。そんな感覚が恐ろしかった。 「ヤダっ、こわい!」  頷いておきながら、俺は逃げようとずり上がろうとする。王子は俺に何をしようとしている? 「怖がるな、俺がいる」  そう言いつつ、王子が俺の口を塞ぐ。めとゃくちゃ苦しい体勢になり、口で呼吸も上手く出来なくなって、それでも俺は王子と、目線があったままで、何かを受け入れていた。 「んぅ、んん」  腰が痙攣するように動いて、自身に温かいモノが当たる感触があった。下半身が小刻みに震えてどうにもならない。 「いい子だ」  唇を離した王子がそう言って、俺の頭を優しく撫でた。苦しい体勢から解放されて、俺は短く浅い呼吸を繰り返す。
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