僕の秘密

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「でもさ、なんで? この間あった時は全然そんな感じじゃなかったじゃん」 「それがさー。こないだ新宿ぶらぶらしてたら、キレーなガイジンに声かけられて、そんで噛まれた」 「……おまえさ。のこのこ付いていったワケ? そのガイジンに。お前言ったよね? もう絶対浮気しないってさーっっ」 「わかってるって。もう浮気しねーってば。お前一筋だからさ。血ぃ吸わせてよ。コウ」  ムカツク。どうして平気で笑ってるんだ、こいつ。何でこんな浮気症のバカに引っかかったんだろ。やっぱ顔か?  僕はポケットから白木の杭を取り出した。そのまま力任せにヒジリの心臓目がけてぶち込む。吸血鬼って意外ともろいんだよ。白木の杭に対しては。知ってた?  ヒジリが信じらんないって顔で僕を見てる。僕はため息をついた。ぐぐっと杭を押し込むと、ヒジリは断末魔(だんまつま)(さけ)びを上げる。杭が打たれたところからもう燃え出してる。必死になって杭を抜こうとする腕が焼け落ちた。肉が焼ける甘い匂いが一瞬辺りに漂う。  僕は一歩身を引いて、ヒジリが完全に灰になるのを待つ。あっというまなんだ。3分もかからない。3分クッキングって昔はほんとに3分だったらしいよ。知ってた?  ごめんよツトム。僕もお前に秘密にしてたことがあるんだ。  ──僕、吸血鬼ハンター(・・・・・・・)なんだ。
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