俺の幼馴染は世界の果てのダンジョンマスター

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『君は苦労していないか?』 『我らが主のために、そなたはここまで来ているのだろう?』 「まぁなぁ。今はダンジョンマスターなんてやっているが、あいつも元は人間だから、きっと周囲(まわり)にモンスターが居るとはいえ、同族がいなけりゃ寂しいだろうし、だからこそ、そういうのをお前らに構うことで誤魔化したりしてるんじゃないか?」  そう言えば、モンスターたちが(まばた)きを繰り返す。 『君は優しいな』 『確かに、同族が居ないのは寂しい。他の種族の縄張りに入り込んだ感じだろうからな』 『ぐぎっ、ぐぎぎ、ぐげっげ?(けど、だからって、兄ちゃんがケガしたら意味無いだろ?)』 『ぐが!(そうだ!)』 『ぐぎぎぐが!(兄ちゃんも気を付けるべきだ!)』  うん? もしかして、俺ってば、心配されてる? 「ありがとうな、心配してくれて」 『べ、別に心配なんて……!』  おお、ツンデレ持ちが居たか。  そう思っていれば、服の端を引っ張られる。 「何だ?」 『また、来てくれる?』  服を引っ張ってきたのは、最初に菓子を上げた妖精種。 「ああ、あいつを一人にするわけには行かないからな。もし、俺がここに来なくなったら、それは俺が死んだときだ」  まあ、あの町に住み、ここに出入りする以上、死ぬことはないだろうがな。 『……じゃあ、その時までは、また話せる?』 「ああ、お前らが倒されることなく、無事だったらな」  お互いが死なない限りは、話し相手になろう。  モンスターとて、悪い奴らばかりではないのだ。 「お、勝負は終わったか」  もう勝負は終わったのかと目を向けてみれば、対戦していた二人は目を見開いていた。 「……モンスターたちと、話せたの?」 「いや、何となく何言ってるのか分かってるだけで、正確に分かってる訳じゃないぞ?」 「そういう意味じゃない!」  珍しく、声を荒げた幼馴染に驚いていれば、モンスターたちも驚いた顔を見せる。 「娘、それだけでは、奴には伝わらんぞ?」 「うっさい、部外者は黙ってて」 「小僧、モンスターと話せるということはな、」 「黙ってろって、言っただろうがぁっ!!」  俺の事は小僧なんだな、とか、魔王が続けようとした言葉に意識を置いていたら、再度幼馴染が叫ぶ。  本当にどうした。情緒不安定か? 「違うから」  何と説明したら良いのか分からない、と言いたげな顔で、幼馴染は顔を逸らしている。
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