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今更、遅すぎる安堵がわたしを襲った。膝から崩れ落ちそうになったわたしを、ジュリアンが支えてくれた。
「だいじょうぶだよ。ほら、左手は支障なく動いている。君を抱きしめることだってできる」
言いながら、ぎゅっと抱きしめた。
頭のてっぺんに、彼の顎が当たった。すごく尖って感じられる。モランシーを出た頃より、ジュリアンは、痩せてしまっていた。
目を向けまいとしていたその事実に直面し、わたしは胸が痛んだ。
同時に、彼が愛しくてたまらない。
そのままの姿勢で、彼の話に耳を澄ませた。
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