131人が本棚に入れています
本棚に追加
◇
「コルデリア! このバカ娘が!」
モランシーの宮殿に、父の王の怒声が響く。大混乱になった、卒業パーティー会場から抜け出し、故郷モランシーへ帰ると、怒りの形相の父が待ち構えていた。
「お前は一体、何てことしてくれたんだ!」
もちろん、わたしにも言いたいことはあった。
「お父様こそ! わたしにいったいどのような魔法をお授けになりましたの?」
「なんだと? お前は、自分が教えられた魔法も理解しておらんかったのか!?」
「あんな難しい呪文、丸暗記するだけで精一杯でしたわ!」
「そうだった。お前のお脳が軽いのを、すっかり忘れていた」
父は、深いため息を吐いた。
「わしがお前に教えたのは、お前が魅力的で、賢そうで、その上、グラマラスな女性に見える幻惑魔法なのだよ」
幻惑? ええと。幻惑しなければ、わたしは、魅力的で賢そうに見えないわけね。
でも……。
「グラマラスはどうかと思いますわ。確かに、エリザベーヌは爆乳だけど、あれは、肩が凝りそうで、わたし的にはNGですわ」
わたしが言い返すと、父は激昂した。
「お前の好みなど、聞いておらぬわ! グラマーは全哺乳類の憧れなのだ。ジュリアン殿下は、ことのほか、乳のでかい女性がお好みだと、スパイが言っておった」
だからあっさり、エリザベーヌに、持っていかれちゃったわけね。
「お父様。スパイまで放っていらっしゃったんですの?」
「不肖の娘の為なら、親は、何でもするのだぞ」
「お父様……」
ここはやっぱり、感動するところよね?
最初のコメントを投稿しよう!