第一章『リナの質問』

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第一章『リナの質問』

「ねぇ、やっぱりナオの初恋ってトモなの?」 ブシャー 漫画のようにジュースを吹き出すナオ。 「うわっ、もう汚~い」 リナはなんとか被害を免れた。 「いきなり何聞いてくんだよ」 ナオは濡れてしまった口の周りをハンカチで拭く。 ちなみにナオはハンカチをきちんと持ち歩くタイプの男子です。 「この前マサの聞いて面白かったから、ナオのも聞いてみようかなぁと。ちょうどトモもいないしね」 珍しく今日はナオとリナの二人で帰宅することに。 いつも一緒のトモは家の用事があるとかで先に急いで帰っていった。 「あぁ、夕立の時のやつか。俺とトモが登場した時にはびっくりしたよな。それに、まさか中学の頃にあいつと会ってたとは」 「そうそう、その流れ。で、どうなの?やっぱり定番の幼馴染みのトモが初恋相手?」 (本当女子は恋ばな大好きだよなぁ) ナオは苦笑いしつつ 「違うぜ」 そう言って、見えてきた公園の中へ。 飲み終わった空き缶を捨てる為に。 ここには子供達にとっては怪物のように大きなジャングルジムがある。 まぁ、高校生のナオ達からしたらもう小さい怪物にはなっているが。 「えっ、違うの?意外~。じゃあ、誰なの?」 その後をリナが追ってくる。 「別に誰でもいいだろ」 「え~、気になる~。ね~、教えてよ~。誰にも言わないから」 リナがお願いポーズ。 「いや、お前マサの即効で俺らに話したじゃん。前科者だろ」 ナオの言葉にリナはハッと気付かされたが、 「それはそれ。ナオのは誰にも言わないから」 意地でも食い下がる勢い。 (こいつ絶対言うよなぁ) 結果は見えていたが、別に頑なに隠すようなネタでもない。 ナオの表情から根負けしたのを感じ取ったリナは質問をスタート。 「私も知ってる人?」 「いや、知らない」 「じゃあ、トモは?」 「あいつは知ってる」 「てことは、保育園の時?」 「そうだな」 ナオとリナが出会ったのは小学校に入ってからだ。 「あっ、もしかして今度こそ定番の先生とか?」 「残念でした」 「んじゃ、誰?」 「3個ぐらい上の近所に住んでた女の子」 「へ~、年上の女性か」 「お前言い方。当時は俺が保育園で相手は小学生。たいしてかわんねぇだろ」 「でも、年上は年上でしょ」 リナが嬉しそうにニヤニヤしている。 「トモと三人でよく遊んでた仲の良い友達だよ」 「三人で遊んでたのに、トモではなくその人に恋したのはなんで?」
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