クマさんと僕

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僕は小さい頃からクマさんが大好きだった。物心ついた頃から、僕はクマさんのぬいぐるみを手にしては、喜んでいた。 それと、必ずと言っては、動物園に行くと、いつも最初に見に行くのはクマさんだった。なんでそんなにクマさんが好きかは自身である僕さえも分からない。クマさんを見ていると、なんだか癒されて、なんだか愛おしい気持ちになる。クマさんは怖いと恐れられているが、僕にとったらちっとも怖くなんかない。むしろ、可愛い。 そんな僕は中学校に入った。鞄の中には御守りのように小さなクマさんのぬいぐるみを入れて通う、これが僕のスタイル。 「おい、凜叶。また、クマのぬいぐるみ入れてきたのかよ」 「そうだよ。陸真。なんか文句ある?」 「文句なんかねーよ。ただ先生にバレたら没 収されるぞ」 「大丈夫だよ。僕が大事に持ってるから」 僕は凜叶。友達の陸真といつもこんな会話をする。こんな大人しい僕に友達ができたのもクマさんがきっかけだ。だから、クマさんは大事。 帰り、危うく天気が悪く、土砂降りの雨だった。僕は傘を忘れてしまい、僕は走って家に帰ることに決めた。 大事なクマさんのぬいぐるみを入れている学校の鞄を抱きしめ、走った。 だが、僕の家までの道のりはとても長く、僕は一旦、休憩しようとバス停の屋根のある停留所に駆け込んだ。停留所の中には木製のベンチがあって、そこに座った。 そして、鞄からクマさんのぬいぐるみを取り出して言った。 「クマさん、雨だね」 クマさんの返事はない。ぬいぐるみだもの。 すると、女の人がキャーと叫び声が聞こえた。僕はなんだろうと思った。 すると、停留所の下元から茶色っぽい毛のフサフサした獣の手が見えた。 僕は獣に対して、怖い気持ちはなかった。すると、獣の顔がひょこっと出てきた。クマさんだった。つぶらな瞳のクマさんと目が合う。クマさんは停留所だと分かっているかのように僕の足元で座った。 「クマさんかわいい」 僕はクマさんの頭を撫でた。クマさんは気持ち良さそうに僕に撫でられている。 そして、クマさんは僕の右足に頭を寄せて、眠った。 僕はそんなクマさんを見て、温かい気持ちになった。すると、雨の音も綺麗な音楽の音のように聞こえ、心地よく眠りに落ちた。 目を覚ますと、ライトに照らされていた。眩しい。目を擦りながら、目を開けると警官のお兄さん二人がいた。 「君大丈夫か?」 「どうやら君は熊に失神したって所かな」 「え、失神、違います。僕はただクマさんと寝ていました」 と僕は応えた。すると、動物保護隊員のなのかもう一人、男の人が来た。 「熊発見」 と言って、駆けて来た。そして、「熊確保」とクマさんを後ろから抱き上げる。 クマさんはびびったのか、足をばたつかせている。 「クマさんを離して。クマさんを虐めないでください」 と僕は反論した。すると、動物保護隊員の男の人も警官のお兄さん達も目を丸くして、驚いている。 僕は動物保護隊員の人に両手を上げ、クマさんを貰おうと手を伸ばした。 「だめだよ。君。野生のクマなんだから。危ないんだよ」 「クマさんは危ないくない。クマさんは優しくて強いんだ。そんなクマさんを虐めて、捕まえるなんて、お兄さん達ひどいですよ」 と僕は歯向かって言った。 動物保護隊員の人は片腕でクマさんを抱き、空いている片方でやれやれと言うように頭を搔いた。僕は動物保護隊員の男の人に目を見つめ合す。 そして、クマさんはクーンと鳴いた。そこに動物保護隊員の女の人が駆け付けて来て、周りの家のおじさん、おばさん、男の人、女の人が群がって来た。 「では、熊を連行しましょうか?」 と女の人が動物保護隊員の男の人に言う。 「あぁ」 と男の人は言って、僕から目を外す。けれど、立ち止まり言った。 「この熊は連行する。人間の住む所に野生の獣が来ては行けないんだ。だが、君がそんなに言うのなら…。この熊は動物園に申請する。それでどうかな?」 僕は目をキラキラと輝かせ、満面の笑顔で応えた。その言葉にとても嬉しい気持ちになったから。 「はい!ありがとうございます!」 と僕は言った。 人間も動物なのに、もっと野生の動物達が落ち着いて過ごせる場所が広がっていくといいな。そして、もっと自然が広がって、素敵な色とりどりな風景がこれからも続くといいです。
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