友達の面影

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「昔のオイラは小さくて黒くて頭としっぽしかなかったんだよ」 カエルは少し恥ずかしそうに言った。 「え?黒くて……頭としっぽ?そうだったんだね。実は僕も昔は、体は茶色くて羽も生えてないし胴長だし、泳いでたって言ったけど泳ぐと言うよりも水の中を歩いてる感じで……」 トンボも俯きがち頭を掻きながら言った。 「トンボ君は、オイラの子どもの頃の友達に似ているよ!茶色くて胴長で水の中を歩いていて、いつもおしりを振りながら泳ぐオイラの後を追いかけてきてた」 「カエル君も僕の子どもの頃の友達に似ているよ!小さくて黒くて頭がでかくてしっぽをフリフリしながら物凄い速さで泳いでいく……」 「「ん?」」 2匹は顔を見合せた。 「ちょっと待って!トンボ君、もしかしてヤゴのヤーゴンなのかい?」 「そうだよ!えっ、カエル君こそ、もしかしてオタマジャクシのジャックなの?」 渓谷に吹く風が木々の葉をサラサラと揺らす。 「「全然、昔と違うじゃないか!!」」 2匹はビックリしてお互いの体を見たり触ったりと興味津々だった。
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