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木漏れ日と小さな滝の音、静かな水の流れが調和する渓谷に1匹のトンボが小さな波紋を作った。
「綺麗な水だ。久しぶりに来たけれど、昔とぜんぜん変わらないな」
岩場にとまって、昔のことを思い出す。
水の中に住んでいた友達と、この渓谷で泳ぎの競走や葉っぱの船に乗ったり、空の光に向かってジャンプしたりと、朝から晩までずっと遊んでいた。
思い出に浸っていると、隣から
「こんにちは!」
と声がした。そこにいたのは1匹のカエルだった。
「あ、どうもこんにちは」
トンボが応えると、カエルはにニカッと笑い手足を水につけた。
「うわ!この水の感触!昔と全然変わらないなよ」
カエルは子どものようにはしゃいでいた。
「カエルさんも、昔よくここで遊んでいたんですか?」
「そうさぁ!ここはオイラの故郷だよ!泳ぎたいなぁ、よしっ泳ごう!」
とカエルは水辺から離れて沖の方に泳いで行った。
「おぉ!素晴らしい平泳ぎ!」
トンボは気持ちよさそうに泳ぐカエルを飛びながら追いかけた。
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