side   愛 生

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「“あのこ”…どんな感じ?」 翌日のランチ時、座るや否や 同僚は愛生に 悠未の様子を尋ねてきた。 「“あのこ”・・・って?」 直ぐ様悠未であることに 愛生にはわかっていたけれど わざと無表情に聞き返した。 「“木下悠未(きのしたゆうみ)"よ」 敵意が露わなのは咲希(さき)。 「星南大学出身らしいけど」 情報収集に優れた鈴子(すずこ)は もうネタを掴んでいるようだ。 「星南でウチの会社は、ちょい  無理やから、コネ入社かと  思いきや、そうでもないねん。  どないして人事に繋ぎをつけたか、  それも興味深いとこやから  今、ツテを駆使して学生時代の  彼女の様子を調査中やねん」 関西訛りの鈴子こそ、 コネ入社であるから 会社の裏事情に詳しかった。 「いずれにしても“綺麗な花”は  目立っちゃうわね…  早くも他の部署で“あのこ”、  彼女の歓迎会を、男共が画策中。  まったくぅ…男なんて  どいつもこいつもなんだから」 男性社員と日頃から仲の良い咲希には 悠未の存在はかなり目障りな模様。 「どんな入社の仕方にせよ、仕事が  出来なきゃすぐに辞めるだろうし  気にしても、ねぇ…」 冷静なのは一番の友人で 企画部の及川瑠李(おいかわるり)。  
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