side   愛 生

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瑠李と朔也は同じ 地方国立大学経済学部出身で、 サークルも同じハイキングサークル。 高校のクラスも一年から同じで ずっと仲良くしていたと言う。 この大手食品メーカーへ就職して すぐの那須高原での合宿研修中、 引っ込み思案で影の薄い愛生に 朔也と瑠李が声をかけ、 何かと親切にしてくれた。 それが同期としての、 愛生・朔也、瑠李との 付き合いの始まりだった。 瑠李は背丈がスラリと伸びた ボーイッシュな女性で、 一見すると朔也と瑠李は 兄弟のように見えるほど。 逆に言うなら、朔也は 流行りの可愛い顔男子。 但し、地味な服装に 口数の少なさが流行りでない。 けれど、  「簿記一級を持って就職した   新倉さんって、君だろ?   配属先の経理部長が   さっき褒めてたよ」 愛生に向けた笑顔が優しくて 初めての“一目惚れ”に 愛生を落としてしまったのだった。
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