side   愛 生

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経理部に配属された朔也と愛生は  「僕も簿記一級を今年中には   絶対取りたいんだ」 朔也の勉強に付き合う形で 昼食を一緒に… 職場で居残りしてお弁当… 資格試験前の日曜に合う… そうして、どちらが口にするでなく 自然に交際へと運んだ。 恋に不器用な愛生にとって  (恋愛ってこんなにスムーズに   進むものなの…?) 驚きの“初カレ”。 なんせ誰れかを好きになっても 告白すらないままに 夜露の如く消える 片想いばかりの愛生だったから。  「縁って…そう言った   ものではないかしら?」 こんな言葉の似合う瑠李は 商品販売促進の企画部に配属、 そこにいた鈴子や 営業部の咲希も加わり、 愛生の社会人生活は 順調に微笑ましくスタート。 彼女達とは部署は違っても 週に二度、三度は共に ランチや夜の街を過ごして、 朔也とは土日のほとんどは どちらかのマンションで まるでママゴト遊びのように 買い物して…一緒にキッチンに立って ベッドで抱き合って・・・  「秋には結婚しよう。   ずっと二人で生きていこう」 朔也からのプロポーズ・・・ 互いの実家への挨拶も済ませた 交際五年目の春だった。
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