そして…

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翌日、見舞いに来てくれた 悠未の話から、瑠李の容態を 愛生は知った。 「左脚は膝下から  切断を免れようが  なかったそうです…」 「切……断!……」 愛生の車にめり込んだ トラックの衝撃を 瑠李は一身に受けてしまったという。 「瑠李…なんて馬鹿なことぉ…」 愛生はシーツを握り締めた。 しばらく言葉もない病室へ 「入ってよろしいですか?」 意識が戻った愛生に 最初に声をかけてくれた 医師・久我山(くがやま)が来て 「私、お花を花瓶に  生けてきますね」 悠未は病室を出た。 「瑠李は…瑠李は…」 「大丈夫です!落ち着いて、ね。  今は医学が発達しています。  幸いに脚以外はダメージも低い。  回復は早いでしょう。  命はあったのです、大丈夫」 久我山の笑顔が 窓から漏れる陽の光りに和らいで 愛生を少し冷静にした。 「トラックの運転手は  居眠りをしていたそうです。  過重労働でね…」 「・・・・・・・・・」 「半年程前、同じような事故で  僕の妻も…死にました…」      
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