そして…

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一度も…瑠李の病室を 訪ねることも出来ぬまま 愛生は退院の日を迎えた。 瑠李の治療費や今後については 悠未の夫・鳥居の弁護士が 相手方も交えて巧く 取り計らってくれることに 甘えたままで良いのかと 気がかりではあったけれど、 愛生が黙って去ることが… 何よりも良いような気も… 愛生にはあったからだ。 先に荷物を運んでくれていた悠未が 「愛生先輩…飯島さんが…」 病室へ戻ってくると 遠慮がちにそう言うと、 「話を…いいだろうか?」 少しやつれたが 昔のきちんとした朔也が 中へと入ってきた。
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